『シュガーレス・ラヴ』 / 山本文緒

シュガーレス・ラヴ
山本 文緒　著　；　集英社　出版 / ２０００．６（２７１ｐ）

****小説**日本文学****
おすすめ読者年代　高校生以上
恋愛指数　☆☆☆★★　３
女性指数　☆☆☆☆☆　５
読みやすさ☆☆☆☆☆　５

**目次**
彼女の冷蔵庫（骨粗鬆症）
ご清潔な不倫（アトピー性皮膚炎）
観賞用美人（便秘）
いるか療法（突発性難聴）
ねむらぬテレフォン（睡眠障害）
月も見ていない（生理痛）
夏の空色（アルコール依存症）
秤の上の小さな子供（肥満）
過剰愛情失調症（自律神経失調症）
シュガーレス・ラヴ（味覚異常）

目次を読んでわかるように、これは１０の短編で
全ての物語には何かしらの病がある。

『シュガーレス･ラヴ』というタイトルからは
少し悲しい話なのかと思ったけど
最後はハッピーな感じのエンディングもあるし
イライラしたまま終わるものもある。

社会人、頑張る女性に向いている本かな。

************感想（ネタバレ・注意）*************
もしあなたが何かしらの病を持っていて
かつ、何かしらの不安だったり悲しみを持て余していたとしたら
この本はあなたの目にどう映るのだろう。

骨粗鬆症では正座しただけで骨が折れるし、
アトピー性皮膚炎ではそのイライラに共感できた。
とっても美しい観賞用の彼女は便秘だし、
突発性難聴は難聴以外に悩みとも後悔ともつかない気持ちを持て余している。
睡眠障害の原因はとってもシンプルだし、
生理痛の鈍痛は女性ならだれでも共感ができるだろうし、
アルコール依存症の彼女は高校生だ。
肥満が女性の欠点ではないと書いてあり、
味覚異常を自覚した彼女はフードコーディネーターだ。

自律神経失調症の彼女を持つ話だけ男からの目線で書いてある。

もしあなたが何かしらの病気に共感を持ったとしたら
もしかしたらその病のことに対して何もわかっていないと怒りを持ったとしたら。

女の子から女性に変わっていくのは
長い時間をかけて変声期を味わうようなものなのだろうか？
徐々に変わっていって、いつの間にか自分が変わってしまったことに気づく。
そんな女性達は、意外と頑張っているんじゃないか、と思える本だ。

頑張っているように見える彼女も、
そうでないように見える彼女も。
実はみんな結構頑張って生きている。みんな。

これは女性向の本だなぁと思います。
男性が読んだら全く違う感想になるんじゃないかな。