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カカシの夏休み / 重松清カカシの夏休み
重松 清 著 ; 文藝春秋 ; 2003.5
*****小説**日本文学****
対象読者 大人向け・比較的男性向け
手軽度  ☆☆☆★★ 3
熟読指数 ☆☆☆☆★ 4

以前「ライオン先生」というドラマが竹中直人さん主演であったようで、
ひろりは見ていないんですが、ドラマ原作の本を中心に入れてた時期に
とりあえず入れた、程度の本でした。

最近「重松清の本はまりますよ。」と言っていた先生がいて、
『亡国のイージス』とか『司馬遼太郎全集』なんか読んじゃう先生なので
あまり期待せず読んだのですけど、面白かった。

比較的大人向けの本かな。

短編『カカシの夏休み』『ライオン先生』『未来』の3本。

『カカシの夏休み』の主人公は学校の先生。
主人公の先生は生徒から陰で「カカシ」と呼ばれているのを知っている。
生徒が問題を起こしても何もすることができなくて
ボーっと突っ立っているだけだから「カカシ」。

突然級友から連絡があったのは友達の死の知らせだった。
昔ダム建設のために町を捨てることになったために
郷里を離れ今ではバラバラに生活する級友からの連絡だ。
なくなってしまった故郷を持つ主人公の揺れ動く心とは。

『ライオン先生』はドラマの原作にもなったお話。
流行らないヘアスタイルを貫く主人公のあだ名は「ライオン先生」。
たてがみのようなヘアスタイルは、カツラである。

娘に二重まぶたに整形すると言われ反対すると、「カツラ」を批判される。

熱血教師を地でいけるほど若くも無くなったライオンは
周りからの「ライオン」への期待と変わってしまった自分に葛藤する。
時代が変わり、自分も変わり、しかし変わらぬ周囲の目。
ライオン先生の未来への取捨選択と葛藤。

『未来』の主人公は「最後の言葉」を聞いてしまった子だ。
級友が死ぬ。
そのことによって自分の中に消えることのない記憶が残る。

そしてそんな自分の弟は級友をいじめていたつもりはないのだけれど
「お前のせいだ。」と遺書を残されてしまう。
償うことのできない死者に対して残されたものはいかに生きればいいのか。

テーマは軽く読めるものではないかもしれませんが、
とても考えさせられる作品ばかりでした。
また元気な時に読み直したら面白いだろうなァ。

************感想(ネタバレ・注意)*************
学校と言うのはとても閉鎖的なところだなと思う。
今も思うし通っていたころも思っていた。
でもその閉鎖された空間にいることが当然だと思われているし
そこに働く人間達もそう教えなくてはならない。

どんなに頑張って通っていても
どんなに頑張って教えていても
どんなに辛くて悲しくても
それができないとレールを外れた人間であるかのよう。
決してそうではないのだけれど。

違う道を認めよと言う。

いつの間にか狭い視野に押し込められているし
いつの間にか学校だけが教育する場所のようになっている。

誰にでも教える事はできるのだけれど、
できない人間に対して厳しい。
どこにでも教育の場はあるのだろうに。

隣の人間ができないことに苛々しながら、
他人ができないことを批判しながら
教育の現場を批判する。

難しいな、と思う。
考えれば考えるほど悲しくなってくる。

教育の現場が舞台の作品を読むと、胸がつまる。

痛い痛い。
重松さんの書く作品は今の私にとっては痛すぎる。
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