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天国の本屋天国の本屋
松久淳+田中渉 著 ; 新潮社 出版 ; 2004.4
****文学**日本文学****
おすすめ読者年代 高校生以上
恋愛指数 ☆☆☆★★ 3
感動指数 ☆☆☆★★ 3
感涙指数 ☆☆★★★ 2

主人公のさとしは就職を考えないといけない時期になってきた。
ただ、何となくやる気にならない。
その日もコンビニで求人情報誌の横にある週刊プレイボーイを手に取ろうとしていた。

そこに現れたのはアロハシャツを着た変なおっさん。
目の前が真っ暗になり、気がつけばそこは天国だと言う。

さとしはワケがわからないままに天国の本屋で働くことになる。

天国の本屋には色んな年齢の人がくる。

人は100年の人生が決められており、
それ以前に死んだ人が残りの時間を過ごすのが天国である。
そして天国の時間を過ごしたあと、人はまた生まれ変わることになるのだ。

その本屋で同じようにアルバイトしているのはユイという少女。
彼女はほとんど笑わないし、本屋のレジの中でゲームばかりをしている。
彼女のことを徐々に知り、気になりはじめていくのだが。

ページ数も少ないし、挿絵も入っています。
気楽に読める作品だと思います。

恋愛小説が読みたい!と思っている人には少し物足りないかもしれませんが、
作中に『泣いた赤おに』の話や、『ナルニア国物語』の話が描かれています。
「読書が好きな人に」というよりは、「本が好きな人に」お薦めしたい本です。
ハッピーエンドの本だから、気楽に読んでください。

************感想(ネタバレ・注意)*************
例えば心の中にどうしようもない傷があれば、己の中にあるそれを呪ってしまう。
他人に傷つけられた傷ならば、誰かが癒すこともできることもあるだろうけど
己で刻みつけてしまった傷ならば、その傷はどうやって癒したらいいのだろう。

人生の中には「取り返しのつかない過ち」が存在する。

授業で国語の先生が「タイムマシンがあったらいつに行きたいか」という話をしていて、
その先生は「高校の時、決勝でサヨナラ負けをしたあの日に戻る」と言った。

キャッチャーの彼は投げられたボールを捕球できずに、
背後に転がってしまったボールを、40代になってもまだ悔やんでいるのだ。

人によって心の引き出しの中にある「過去の傷」は違う。
あの時のほんの少しの「まぁいいか」。
あの時のほんの少しの「また今度」。
あの時のほんの少しの「小さなミス」。

その瞬間はきっと、何の意識もしていないのだ。
これから長い間、「今」の記憶に苦しめられることになるなんて。

誰にでも記憶がある。
もし記憶がないとしたら、それは宙を歩くように心許ないことだろう。

私を知っている誰かがいて、私が覚えている誰かがいる。
その支えによって生きていられるように思う。

さとしが読んでもらった『泣いた赤おに』。
優しい赤鬼と、優しい青鬼のお話。
思い出しながら、誰かに読む絵本。

心の中には様々な記憶があるけれど、
いつか優しい思い出に変わるときがきっとくると
そう思っていたい。
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