恋愛小説、泣ける本からマニュアル本まで。
Copyright(C)ひろり All rights reserved.
いらっしゃいませ
カテゴリー
ブログ内検索
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

村山由佳 著 / 集英社 出版 / 1998.9
****文学**日本文学****
おすすめ読者年代 高校生以上
納得指数 ☆☆☆☆★ 4
恋愛指数 ☆☆☆☆★ 4
誰でも自分の中の「自分」にイラついたことがあるはずだ。
他人から言われる「自分像」と、本当の「自分」にのギャップに、
苛立ちを覚えながら、他人の見る「自分」を壊すことができない。
主人公の涯はマリコさんに恋をしている。
恋をしている。
でもマリコさんにとって自分は一体なんなのだろう。
大人の関係はあるものの、
彼女の気持ちを確かめることはできない。
マリコさんとは世の中でいう「不倫」の関係だから。
彼女にとって自分がどんな存在なのか自信がないから。
マリコさんは大学の先生で、結婚していて、
それでもとても魅力的でみんなの憧れだ。
自分は大学生で貧乏なバンドマンで、
そんな人がどうして自分と、と思いはするものの
自分が聞きたくないような言葉が返ってくるような気がして
涯はマリコさんに聞くことができない。
村山由佳さんの作品は少し悲しい。
落ち込んだり山あり谷ありもあるけれど
最後は明るい恋愛小説というものではない。
恋をしているときのぎゅっと胸を締め付けられるような感覚や
才能だとか、年齢だとかって言うようなどうしようもないものを、
なんとか飲み下すように努力するときの苦しさ。
作品の中には、涙が流れて止まらない大きな波のような悲しさじゃなく、
心が締め付けられて呼吸ができなくなるような苦しさがある。
決してハッピーエンドではないこの作品を読んで
昔の恋を思い出したり、自分の事をずいぶん嫌いだった時期を思い出した。
恋愛小説が好きな人は読んでみてもいいんじゃないかと思います。
************感想(ネタバレ・注意)*************
恋は真っ直ぐ正直である気持ちばかりじゃなくて、
じわりと暖かくなるような恋もあれば、ヒリヒリと焼け付く恋もある。
自分を守るためや自分を肯定するためにする恋もある。
でもそういう恋には、きっといつか終わりがやってくる。
正直な自分、まっさらな自分をさらけ出してしまえば
どうしようもないような傷を負い、自分だけでは手に負えなくなる。
それなのになぜ胸を締め付けられるような恋をしてしまうのだろう。
小説の中の登場人物の台詞で、この本読んだんだっけ?と思った箇所がたくさん出てきた。
「・・・(中略)・・・世の中にはつき続けたほうがいいウソもある。そのウソがどんなにつらくたって、それは、あなたが今まで自分で選んできた人生に対して、あなた自身が背負っていかなきゃいけない責任なのよ・・・」
「・・・(中略)・・・あたしのことは、あたしが決めたい時に自分で決める、あんたの好きになんかさせない。・・・」
「・・・(中略)・・・『ありのままのあたし』ってお前言うけど、ありのままであればそれでいいのか?ホントにお前、心の底から、今のままの自分に満足してるのかよ。なりたい自分になろうとか、今よりもっとすごいものになってやろうとは思わないのかよ。」
「・・・(中略)・・・なぜならそれは、テクニックの問題ではないからだ。お前の性格なり、根性なりの問題だからだ。オザキがお前のベースを、手堅いだけでつまらんだの、今のままではいくらでも替えがきくだのと言ったのは、そのまま、お前という人間がつまらんってことだ。おまえ自身が、今のままじゃ替えのきく人間でしかないってことだ。わかるか」
「自分に居留守を使ってどうする気だ」
友達がこの本を読んでいたのだろうか?と錯覚するような台詞だった。
昔誰かに言われたような、自分が思ったような台詞の数々が胸に刺さった。
変わりたいと思いながら、どこかで「今」の自分を肯定して欲しくて
駄々をこねていたような、たくさんのジレンマを抱えていた時期。
わかって欲しいと思いながら、全てをさらすことができずにその場から動けない心を
全部見透かされていたような、ずぶりと胸を貫く友達の言葉。
「怖いからって前に踏み出していないのは、ひろり(仮名)ちゃん自身でしょ?」
と言われ、言いたい事はそういうこととは違うんだと反論しながら、
無意識ではきっとわかっていた、たくさんの事。
昔あったね、そういうこと。と言ってしまえるほど過去のことではなくて。
台詞の数々が心の中に沈みこむように残った。
終わった恋に何らかの儀式をして、エンドマークを決めること。
それを誰かと一緒に行うこと。
恋が終わった時、ひとりで越えなきゃいけないことはたくさんあって、
その時、誰かがいることに安心したり、格好悪い自分に呆れたり
どこか客観的に見つめるもうひとりの自分がいたり。
昔ほど自分をコントロールできないわけじゃないのに、
やっぱり恋が終わった時や、どうしようもない権力に負けそうな時。
誰かに一緒にいて欲しいと思う。
今も昔もあまり変わってない自分を思ったり、
強くなってしまった自分のことを考えたりしました。
恋愛小説ってその世界にトリップしてしまうことが多いのだけど、
あまりにリアルでいろんな事を考えてしまいました。
(´・д・`)b 個人的に★5つです。(満点)
彼女の気持ちを確かめることはできない。
マリコさんとは世の中でいう「不倫」の関係だから。
彼女にとって自分がどんな存在なのか自信がないから。
マリコさんは大学の先生で、結婚していて、
それでもとても魅力的でみんなの憧れだ。
自分は大学生で貧乏なバンドマンで、
そんな人がどうして自分と、と思いはするものの
自分が聞きたくないような言葉が返ってくるような気がして
涯はマリコさんに聞くことができない。
村山由佳さんの作品は少し悲しい。
落ち込んだり山あり谷ありもあるけれど
最後は明るい恋愛小説というものではない。
恋をしているときのぎゅっと胸を締め付けられるような感覚や
才能だとか、年齢だとかって言うようなどうしようもないものを、
なんとか飲み下すように努力するときの苦しさ。
作品の中には、涙が流れて止まらない大きな波のような悲しさじゃなく、
心が締め付けられて呼吸ができなくなるような苦しさがある。
決してハッピーエンドではないこの作品を読んで
昔の恋を思い出したり、自分の事をずいぶん嫌いだった時期を思い出した。
恋愛小説が好きな人は読んでみてもいいんじゃないかと思います。
************感想(ネタバレ・注意)*************
恋は真っ直ぐ正直である気持ちばかりじゃなくて、
じわりと暖かくなるような恋もあれば、ヒリヒリと焼け付く恋もある。
自分を守るためや自分を肯定するためにする恋もある。
でもそういう恋には、きっといつか終わりがやってくる。
正直な自分、まっさらな自分をさらけ出してしまえば
どうしようもないような傷を負い、自分だけでは手に負えなくなる。
それなのになぜ胸を締め付けられるような恋をしてしまうのだろう。
小説の中の登場人物の台詞で、この本読んだんだっけ?と思った箇所がたくさん出てきた。
「・・・(中略)・・・世の中にはつき続けたほうがいいウソもある。そのウソがどんなにつらくたって、それは、あなたが今まで自分で選んできた人生に対して、あなた自身が背負っていかなきゃいけない責任なのよ・・・」
「・・・(中略)・・・あたしのことは、あたしが決めたい時に自分で決める、あんたの好きになんかさせない。・・・」
「・・・(中略)・・・『ありのままのあたし』ってお前言うけど、ありのままであればそれでいいのか?ホントにお前、心の底から、今のままの自分に満足してるのかよ。なりたい自分になろうとか、今よりもっとすごいものになってやろうとは思わないのかよ。」
「・・・(中略)・・・なぜならそれは、テクニックの問題ではないからだ。お前の性格なり、根性なりの問題だからだ。オザキがお前のベースを、手堅いだけでつまらんだの、今のままではいくらでも替えがきくだのと言ったのは、そのまま、お前という人間がつまらんってことだ。おまえ自身が、今のままじゃ替えのきく人間でしかないってことだ。わかるか」
「自分に居留守を使ってどうする気だ」
友達がこの本を読んでいたのだろうか?と錯覚するような台詞だった。
昔誰かに言われたような、自分が思ったような台詞の数々が胸に刺さった。
変わりたいと思いながら、どこかで「今」の自分を肯定して欲しくて
駄々をこねていたような、たくさんのジレンマを抱えていた時期。
わかって欲しいと思いながら、全てをさらすことができずにその場から動けない心を
全部見透かされていたような、ずぶりと胸を貫く友達の言葉。
「怖いからって前に踏み出していないのは、ひろり(仮名)ちゃん自身でしょ?」
と言われ、言いたい事はそういうこととは違うんだと反論しながら、
無意識ではきっとわかっていた、たくさんの事。
昔あったね、そういうこと。と言ってしまえるほど過去のことではなくて。
台詞の数々が心の中に沈みこむように残った。
終わった恋に何らかの儀式をして、エンドマークを決めること。
それを誰かと一緒に行うこと。
恋が終わった時、ひとりで越えなきゃいけないことはたくさんあって、
その時、誰かがいることに安心したり、格好悪い自分に呆れたり
どこか客観的に見つめるもうひとりの自分がいたり。
昔ほど自分をコントロールできないわけじゃないのに、
やっぱり恋が終わった時や、どうしようもない権力に負けそうな時。
誰かに一緒にいて欲しいと思う。
今も昔もあまり変わってない自分を思ったり、
強くなってしまった自分のことを考えたりしました。
恋愛小説ってその世界にトリップしてしまうことが多いのだけど、
あまりにリアルでいろんな事を考えてしまいました。
(´・д・`)b 個人的に★5つです。(満点)
この記事にコメントする
Re:ちぃちゃん
村山由佳さんの作品はいつもちょっと淋しい感じがどこかにあるんだけど、
ひろりは好きです。『天使の梯子』とか。
他の本も読んでみようと思ってる。
石田衣良さんの作品は読んだことがないんだけど、
生徒も好きだと言ってるので読んでみようと思います。
ひろりは好きです。『天使の梯子』とか。
他の本も読んでみようと思ってる。
石田衣良さんの作品は読んだことがないんだけど、
生徒も好きだと言ってるので読んでみようと思います。
無題
この本、中学か高校のときに読んだなぁ。
懐かしい(´ω`)
すごい読みやすくて一気に読んだ記憶があるなー。
うさぎって名前の子も出てきてなかったっけ?
もっかい読みたくなってきたなぁ。
村山由佳さんの本は結構読んだな(>_<)
青のフェルマータとか野生の風って本とか面白かった気がする。
懐かしい(´ω`)
すごい読みやすくて一気に読んだ記憶があるなー。
うさぎって名前の子も出てきてなかったっけ?
もっかい読みたくなってきたなぁ。
村山由佳さんの本は結構読んだな(>_<)
青のフェルマータとか野生の風って本とか面白かった気がする。
Re:まゆちゃん
おぉー!。ひろりは最近初めて読んだけど、
なんかなつかすぃー感情が戻ってきましたよ。
うさぎは涯の幼馴染ですな。うさぎにも感情移入してしまうよにぇ。
『青のフェルマータ』と『野生の風』も読んでみようと思います。
なんかなつかすぃー感情が戻ってきましたよ。
うさぎは涯の幼馴染ですな。うさぎにも感情移入してしまうよにぇ。
『青のフェルマータ』と『野生の風』も読んでみようと思います。