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いま、会いにゆきますいま、会いにゆきます
市川 拓司 著 ; 小学館 出版 / 2003.3

****日本文学**小説****
おすすめ読者年代 高校生以上
感動指数 ☆☆☆☆☆ 5
恋愛指数 ☆☆☆☆☆ 5
再読予想 ☆☆☆☆☆ 5

映画化もされた『いま、会いにゆきます』。

一年前に妻に先立たれ、まだ小さな佑司と二人で暮らす巧。
「雨の季節になったら帰ってくるから」と言い遺した
死んだはず妻が記憶を無くした状態で二人の目の前に現れる。

死んだ母親と再び会えたことに喜ぶ佑司。
妻、澪が記憶をなくしていることから、彼女には本人の死を伝えぬまま
また3人での生活は始まる。

家族愛と純愛。別離と再会。
日常を大切に生きることは美しい、と思えるような物語です。

************感想(ネタバレ・注意)*************
主人公巧は脳内に化学物質が異常分泌されることで発作が起きてしまう。
電車や車に乗ることができないから遠くに行くことはできないし、
映画館のような場所にも入れない。
食事にも気をつけていないとならないし、できないことがたくさんある。
息子の佑司はまだ小さいし、その上妻澪(みお)には一年前に先立たれた。

やっかいな病気を抱えているし、父子家庭でもあるけれど
職場の上司が巧の事を理解してくれていることもあり、
佑司と二人つつましくではあるが何とか生活できている。

澪は産後の肥立ちが悪かったのか、元々の体の疾患もあったのか、
幼い佑司を残して死んでしまった。
「雨の季節にあなたたちがちゃんと暮らしているか確認するために帰ってくるから。」
と言う言葉を残して。

巧の意志ではどうしようもない自由になれない体のため、
澪の人生は巧と共に小さな町の中だけで過ごし、終わりを迎えた。

愛する人はもうこの世にいなくなってしまっていて、
「幸せだったのだろうか?」という疑問を反芻してしまう。
普通のカップルみたいに旅行をしたり映画を観たりできなかった。
自分を選ばなければ彼女は幸せになれたのではないだろうか?

「大丈夫よ。」と彼女が言う度に何もかもを見透かされているようで、
そんな澪といれば自分は幸せだったと言える。

しかし後悔は降り積もる雪のようにいつまでも消えることなくのしかかる。

澪の事をはっきり覚えていられる自信はないから、
彼女と出会って幸せだったこと、とても素敵な女性だったことを
小説にして残そうと決めた巧。
佑司が大きくなったとき、母親である澪が素晴らしい女性だったと思えるように。

そんなとき澪が自分達の前に現れた。
巧と佑司は下手な演技で彼女が死んだことを必死で隠そうとする。
雨の季節が終わったら帰るから、と言っていたことを思いながら
3人の、つつましいけれど幸せな生活が再び始まる。

最初の方から泣けて仕方なかった。

愛する人が死んでしまった後の後悔。
もう尋ねることはできないたくさんの問い。自由にならない体。
幸せだった生活の記憶。失くしてしまったはずの生活が再び始まること。

ごめんね、と思いながら生きていくのは辛く悲しい。
今自分は幸せだとしても、相手はどう思っているのか確信が持てない。
責任感なのか、義務なのか、それとも愛なのか。

きっと相手が生きていても尋ねることはできない。
「幸せ?」と聞く事は自己満足のための問いでしかない。
愛する人にでも、愛しあう二人でさえ、真実の気持ちを伝え合うのは難しい。

小さな幸せを大切に暮らす美しさや、生きるうえでの漠然とした不安。
目の前にある幸せも、ふとした瞬間消えてしまう。

それでもただそこに、目の前にある幸せを大事にしていきたい。
必死で忘れまいとしても、いつの間にか忘れてしまうものだとしても。
なくなってしまったとしても、消えてしまったとしても
きっと今の自分を造る大切な要素なのだから。

いたるところで泣いてしまって、最後のオチで
「あら、そういうオチなんだ」とちょっと拍子抜けしてしまったんだけど。
でもやっぱり最後のオチでも泣いてしまいました。

いろんな事を考えてしまったのでうまく感想が書けません。
感想書こうと思って再び読んだのですが、それでもうまく書けません。
きっとまた読むだろうな、と思う本です。
今会いに行きます 今会いにゆきます
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