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西田 俊也 著 ; メディアファクトリー 出版 / 2000.12
****日本文学**小説****

おすすめ読者年代 社会人以上
ラブラブ度 ☆★★★★ 1
スッキリ度 ☆☆★★★ 2
過去の恋愛 ☆☆☆☆★ 4

主人公の由希子は三十三歳。
明日は十歳年下の加納との結婚式だ。

天文台に勤める由希子は、カメラマンの加納との結婚を前に、
今まで捨てるに捨てられなかった恋の遺品を捨てに車ででかける。

そして雪のつもる北の大地で遺品の捨て場所を探していて事故を起こしてしまう。
気づけば昔の恋の相手の元にタイムスリップしてしまっていた、という話だ。

過去の恋の相手の元に時間移動してしまうことになるのだが、
キーワードは思い出の曲。
過去の恋愛相手との強い思い出の残る曲を聴くと、その相手の元へ行ってしまう。

時代を超え、もう会うことも連絡しあうこともない相手。
けれどその時自分はその相手に恋していた。

時間を越え、三十三歳の由希子が見た過去の恋の相手は、
あの時とは全く違うように映ることもあれば、
その時は気づかなかったけれど、恋をしていたのかもしれないと
時間が経ったからこそ認められる恋もある。

次々と時間を移動しながら、親友和美の言葉を思い出したり、
結婚する加納の事を思ったり、後悔しているもう会えない相手の事や
父親の事を考えたりする。

由希子はなぜ加納の元にすぐ戻らないのか、そんな自分に混乱しながら、
恋の履歴をひとりで紐解いていくのだ。
どんな言葉を返そうとも同じ結末を繰り返す相手。
言えなかったひと言を口にしたとき、思ってもない言葉が返ってきたりします。

現在進行形の恋に疑問を抱いてしまう人。
そんな人にはおすすめの本です。

************感想(ネタバレ・注意)*************
個人的な感想なのですが、結構読みづらい文体でした。
今大流行の携帯小説も私にとっては読みづらいものなので、
気にならない人は全く気にならないと思います。

最初の出だしから過去形で全てが描写してあることが読み難かったのよ。

恋の過ちを繰り返して、今の自分があると思うのだけれど、
三十三歳の女性が、未だにそのことに気づけないってのは
ちょっと設定に無理があるんじゃないか?と思いました。

ただ終わった恋の相手に「今」の自分が会ったらどう思うのだろう。
相手は高校生だったり、社会人だったりするけれど、
今の自分はやりたいことをやるために行動し、
結婚しようとまで思った相手がいる。

満たされているはずなのに、過去と決別したはずなのに。

恋愛は数珠繋ぎのようになっていて、自分で意識してないはずなのに、
どうしても前の相手と全く違う人だったり、
忘れられない相手の影を追ってしまって、どこか似ている人だったり。
その無意識のはずの自分の行動。

恋には相手が必要だから、自分で認識している記憶は、
実は相手にとっては全く違う過去だったりする。

過去があるから今があるんだし、
やりたいことを見つけられたり、
今まで自分が思ってもなかった考えや感情を持てるのは、
それまで(恋だけじゃないにしろ)出会ってきた人がいるからだと言いたい作品なんだと思います。

まぁ・・続編もあるけど、ひろりには合わないので読みません。
恋愛至上主義ではないから、それ以外にもあるやろー、とどこか斜に見てしまった。
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