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魔王魔王
伊坂 幸太郎 著 ; 講談社 出版 / 2005.10
****日本文学**小説****
おすすめ読者年代 社会人
政治指数 ☆☆☆★★ 3
超能力度 ☆☆★★★ 2

伊坂幸太郎作品好きの読者にとって、この作品はどういうものなんだろう。
まだ何作かしか読んでないからわからないけど、
『死神の精度』とか『オーデュボーンの祈り』とは違う作品だと思う。

ある日、超能力とでもいうような能力を持ってしまった主人公。
主人公の安藤は、他人に自分の思ったとおりの言葉を吐かせる能力を持つ。
どちらかというと、考えすぎと言われるような人間だが、
自分にとっては当たり前のことだ。生きることは考察することだ。

「考えろ、考えろ」と昔見たテレビドラマの主人公の台詞をよく思い出す。

久しぶりに会った友人、島の言葉。
「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば」
「いけば?」
「そうすりゃ、世界が変わる。おまえが言ってたんじゃねえか。」

日本の将来を憂い、自分がどうすべきか考える。
自分に備わった特別な能力を一体何のために使うべきか。

政治に興味もない、社会を憂うこともないんじゃない?って人には
読むだけでも苦痛になるかもしれません。
実際『魔王』というタイトルだけで読み出した弟は少々読んでいましたが、
妹は早々に違う本を読んでいました。(『アーモンド入りチョコレートのワルツ』)
どちらかと言うと男の人の方がおもしろいと感じるかもしれません。

個人的にはおもしろかったです。
伊坂作品好きな人や、立派な書評をする方の考えは違うでしょうが。

************感想(ネタバレ・注意)*************
『魔王』と『呼吸』の2篇です。

『魔王』はお兄ちゃんの話。
『呼吸』は弟とその彼女(奥さん)の話です。

『魔王』の中でいきなり出てきたファシズムという言葉。

ファシズムとは何か?
実際社会科の授業で習った言葉だけれど、そのことを考えてみたことはなかった。
この本を読んでから、ファシズムとは何か、ということに興味が沸いてきた。

世の中には納得いかないけれど、仕方がないとあきらめていることが多々ある。
日本という国を考えたとき、あまりに大きすぎる問題になってしまうため、
正しい事は何かなんてさっぱりわからない。

主人公は考察を生きることとする、実際周りにいたら面倒なタイプの人間だ。
犬養という政治家が率いる未来党。
その話をしているときに、「39歳はムッソリーニが政権を取った年齢なんだ」。

「ムッソリーニ」友人の島はきょとんとした。

日本がファシズムに向かうかもって不安なのか?そんなことになるわけねぇじゃんか
「どうしてそう言い切れる」

「政治」に関して興味がないわ、って言い切ってしまう人は、
この導入部分は苦痛でしかないだろう。

なるわけない、あるわけない、この国は大丈夫。
そう思う根拠はなにか。
どこから流れてきたかわからない漠然とした情報を信じて、大丈夫だと言い切る。

特殊な能力を持ちはするが、それはとても小さな力で
大きな変わろうとする力に対抗する術を考える主人公。
考えろ、考えろ、と己に問いかけ、信じて行動する。
小さな力で。

宮沢賢治の著作が出てきたり、ムッソリーニやクラレッタ。
知らない場合でもわかりやすく説明してあるので、政治の事がわからなくても読めます。

ただ、読みづらいと言えば読みづらいかもしれません。
個人的にはもう一回読んで整理したいところです。面白かったよ。

何が正しいのかなんてわからないけれど、考えるキッカケにはなるかもしれません。


『呼吸』の方の弟潤也君と、詩織さんの話の方が読みやすいです。

「意志と金があれば、国だって動かせるんじゃないか」と島さんに言われて、
弟潤也君は10分の1の確立なら勝率100%の能力を使って行動します。

**引用**
「それなら」と潤也君はゆったりと言葉を続ける。「それなら、前に詩織が言ってただろ。イタリアの独裁者が処刑された時の話」質問の答えから逸れ、彼がそんなことを言うので、私は少し戸惑った。
「クラレッタのこと?」
「そう。逆さに吊るされて、スカートがめくれて、で、それを直してあげた」
「勇気があるよね」
「そいつはそこで、興奮する群集に殺されてもおかしくはなかったと思うんだ」潤也君の声は変わらないものの、少しずつ剣呑な言葉が混ざってくるので、私は緊張しはじめる。
 うん、とうなずくのが精一杯だ。
「でもさ、俺がその場にいたら、やっぱり、自分のやりたいことをやると思うんだよ」
「スカートを直すってこと?」
 うん、と潤也君は顎を引く。「恐怖とかまわりの雰囲気に負けたくはない。兄貴は」
「お兄さん?」
「兄貴は負けなかった。逃げなかった。だから、俺も負けたくない。」
「どうして」
「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ。」
********

世の中を変えるのは大きくてどうしようもない力のコントロールする術を知ることと、
小さな力であったとしても、何にも屈しない強い意志だ。

この本の感想はやたら長くなりそうなのでここらへんで終了。
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