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ニートニート
絲山 秋子 著 ; 角川書店 出版 / 2005.10
****日本文学**小説****

おすすめ読者年代 社会人以上
お手軽度 ☆☆☆☆★ 4
お疲れ度 ☆☆☆★★ 3

芥川賞獲る前の作品になる本作は、『ニート』。
内容は
「ニート」・「ベル・エポック」・「2+1」・「へたれ」・「愛なんかいらねー」
短編五本が収録された作品です。

全てのものに通じるのは「倦怠感」とでも言うようなもので、
ニートが出てくるのは1話と3話のみです。

この絲山さんの作品は賛否両論ですが、個人的には嫌いじゃありません。

ただ、小説を読むのにはそれぞれ各人求めるものがあると思うので、
「だから何?!」と何かしらの答えを求め読む人は、怒りさえ覚えるかもしれません。
そしてこれはあまり高校生に読ませたい作品ではないなぁとは思いました。

最後の作品は性的描写、しかも強烈なフェチ行為が出てきますので、
気分が悪くなる方もいるかもしれません。ご注意された方がいいかと思われます。

************感想(ネタバレ・注意)*************
1話目の「ニート」に出てくる2人だけじゃなくて、
作中の登場人物は全て「流れ」に身をまかせているような人達です。

世の中には「素晴らしい人」と「クダラナイ人」がいると思ってしまうことが多く、
自分の中の、できないこと、ダメなところ、意地悪なところが見えて
自己嫌悪に陥ることがあります。
そしてそんな自分の自己嫌悪を正しい思考だと無意識に信じています。

ただ、それはあまりにも疲れることで、正しいこと、役に立つこと、立派なことばかり考えると
ダメな自分は価値がないってことになってしまいます。

この作中にでてくる人物は、ダメな人に部類されるかもしれません。
世の中は立派な人や、素晴らしい考えでできあがっていると思うと、
こんな連中がいるから世の中がダメになるんだ、と怒りがこみ上げるかもしれません。

しかし私は本作を読んで、「こんな人もたくさんいるよな」と思いました。
そして自分の中にもそんな「欠陥」と呼ばれるようなところがあります。

もちろんその他人から欠点だと指摘されるようなことがいい所だとは思ってはないけど、
そんな私の「欠陥」があるから自分でいられるのであって、
認めざるを得ないことでしかないと思うのです。

まぁ、そんなこと言ってたら
「世の中をだめにするのはその無気力だ!」と言う人もいるかもしれませんが、
誰がそんなこと決めたんだ、と思ってしまう自分がいるのも確かです。

そういう時代もあるし、もしかしたら一生そのままかもしれないけれど、
だからってお前はなんでそんなに偉そうなんだ、って事を疑問に思うのです。

他人の心を強制して動かすことはできません。

じゃぁ殺人しても許されるのか?ってことになってきますが、
そういうことじゃありません。それは違います。
人を殺すことや、意識して、かつ無意味に他人の心に傷をつくることは
許されることだとは思っていません。

この作品に出てくる人達は、本当に小さなコミュニティの中で
自分以外の他人に「迷惑」と言われるようなことをしていたりします。
でもそれを受け入れる人がいて、世の中はなりたっている感じがするのです。

いい作品だ!とも思わないけれど、こんなこと書くって不思議な人だなァと思いました。
これを読んで、「こんな人がいるんだから私はまだ大丈夫」とも思いません。
「欠陥」がある人間から目を逸らすことでなく、
かといって相手に介入することもしない。

常にニュートラルな状態でモノを見るのは意外と難しい行為だと思った作品でした。
いとやまあきこ
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