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日々是作文日々是作文
山本文緒 著 ; 文藝春秋 出版 / 2004.4
****日本文学**エッセイ****
おすすめ読者年代 社会人、女性向け
読みやすさ ☆☆☆☆☆ 5
納得指数  ☆☆☆☆☆ 5

直木賞作家。元少女小説作家。
そんな作者が書いたエッセイを集めた作品です。
コンセプトがないものなので、
何かについて書いてあるというわけではありません。
強いて言うなら「恋愛」でしょうか。

特に読書好きと言うわけでもない元OLの作者が、
なぜ作家になったのかだとか、
離婚歴のある彼女が、結婚というものについて語ったり
エッセイ自体に統一感はないものの、
山本文緒サンの自論に納得させられました。

恋について、結婚について、生活について、作家業について、
ファッションについて、家族について、本について、直木賞について。

日常の自分の周りにあることについて書いてあります。

まえがきのあと、
 “恋愛スイッチ”は常にオンにして
 「一緒のご飯」の気楽さは恋の堕落?
 ニッポニアニッポン生息の理由
 恋はとことん「くさい」もの
 モテる女とモテない女の決定的な違い・・・

以下続きます。

タイトルは編集部がつけたもののようですが。

一刀両断、という感じのエッセイです。
読んでいててとてもスッキリしました。
ただ、恋愛至上主義だったり、ハッピーなものが読みたい!って人は
あまり面白くないかもしれません。

全部のエッセイが2~5ページくらいなので
楽に読める作品だと思います。

************感想(ネタバレ・注意)*************
“恋愛スイッチ”は常にオンにして
エッセイの章立ては編集部らしいが、
ちょっと読んでみたくなるタイトルだ。

「SMAPで好きなのは誰?」と聞くと「うーん。全員」と答える女性が
好きな男性が欲しいと言う。そこが山本サンとは違うところ。

山本サンは、男性の群れを眺める時、
「好きな順番」もしくは「マシな順番」をつける。

そんな勝手な恋愛スコープで男性陣を見ているのは稀有なのか、と
周りの人達に聞いていると、恋愛に積極的な女性はそうだったようだ。

**引用**
そんな恋愛スコープで男を見るなんて媚びてるみたいだし発情しっぱなしみたいで気持ち悪い、と思った方は一生そうしていて下さい。何もしない「ありのままの自分」という努力しない状態のままで、王子様が現れる奇跡を煎餅でもかじりながら待っていてください。
********

かなり厳しい言い回しだけど、全くもってその通り!と思わずにはいられない。
順位付けをして周りを見ていると瞬発力が違うように思う、とあるけど、
そうかもしれないなぁ。

ブスは心がブスなんだ、と気づいたのは20代の前半だったけれど、
今のままの自分を愛して欲しい、なんていうのは意外と傲慢だ。
カワイイ子はみんな努力している。
それは媚びるではなく、
「もっと可愛く(キレイ)になりたい!」と切望し、努力しているのである。
まぁ多少は媚びることも必要かもしれないが、やりすぎたら自分も相手もしんどい。
ただ、何もせず待つことが「正しいこと」と思うのは違うんじゃないか、と私も思います。


『一緒のご飯』の気楽さは恋の堕落?
には、ご飯も喉を通らない恋愛、について書いてある。

**引用**
《一緒にいるとご飯も喉を通らなくなる、あるいは食べなくても平気になるのが恋愛。一緒のご飯がおいしくなるのが結婚で、恋愛でも、ご飯がおいしいと思ったら結婚してもいいんじゃないスかね》
 というようなものだった。素晴らしい。どうかあのお方にカクテルをマスター。
********

**引用**
外食をするなら「シャレこいてない気軽な店」がいいし、外食よりも家で炊くただの白いご飯に、海苔とあったかい温泉卵でものせて醤油をちょいと垂らしたら十分幸せだ。それに物足りなさを感じる男性とは、もう今の私では精神力と体力がついていかないので、ビジュアルがよくてもお断りである。もちろんそういう男性は、ジャージ上下で眉毛ぼさぼさの女なんかお断りでしょうが。
 これはひとつの堕落だ。堕落が悪いなんて露ほども感じていないが、それでも「恋するときめき」と「一緒のご飯が気楽」というものは反比例するように思うのは私だけですか?
********

ご飯も喉を通らない。それはカワイ子ブリッコ(死語?)のためでも何でもなく、
ただ、食べられない。緊張したりするのももちろんだが、食欲がなくなる。
それが正しい恋愛だと思っていたのはいつのことか・・・。
あるときを境に、「ご飯を食べられる相手」だとか「緊張して喋り倒さなくてもいい相手」を好きになるようになった。

あぁ、これは堕落なのだ。しかし私も堕落が悪いとは全く思っていない。


読むのもほどほどに
読む人が偉いとか、読まない人が偉くないではなくて、どちらでもいい。
読まない人は動物的勘だとか情緒という点で優れていると感じる。

ガイドブックを読み漁り、旅に出るのは
「予告編をたっぷり見て、あらすじをバッチリ読んでから」映画を観るようなもの。

そんな風に書いてあることを読んで、思い出したことがあった。

私はどちらかと言うと活字中毒気味ではあるが、
映画の予告やあらすじを見て、監督が誰か調べて、なんて面倒くさいことはしない。
旅も目で見ておもしろそうなところに入ればいいじゃないか、と思う。
ライブも目について予定がなければ行けばいい。

それは決められた予定が好きでない性格が要因だとは思うが、
以前ネット上の人に「下調べもせずに映画に行くなんて何を観に行くんだ?」と言われた。
それを聞いた時には、この人は何を言っているんだろう?と思ったけれど、
あまりにも自分が正しいと言う口ぶりに「へー、そうですか」と返した。
そんな風に映画を観ることが正しく、エライ
と思っている彼に同意することは一生ないだろう。

本を読んでいる人間は、自分が偉いと勘違いしている人がたまにいる。
映画を観る人間にもいるんだなぁ、とその人の事を思い出したのだ。
その話をしているときは、何が引っかかったのかさえわからなかったけど、今わかった。

ぼんやり過ごしている人が「時間を無駄にしている」ように見える人は要注意だと思う。
と書いてあるが、全くもってその通り。

人の肩書きを聞いて「すごいですね」と言う人間。
横文字職業の友達を持っていることを「スゴイ」と評価する人間。
ラベル貼りされたものばかりで色んなことを決め付けることは簡単で単純な作業だ。

ただ、そういう人間の方が世の中には多いし、
自分も知らず知らずのうちにそういう事をしているんだろう。

知識がないと言う事は、先入観を持たないということでもある。

私は読むと落ち着くから読むのだが、頭でっかちになりすぎないように気をつけよう。


他のエッセイも、「そうか」と納得できることがたくさん書いてあった。
答えがでないことを「わからない」と考えなくてすむ性格なら、
もやもやしたりしないのかもしれないが、答えが出るまでいつまでも考えてしまう性分。
もやもやしていた気持ちをストンと落としてくれた感じだ。

ズバリと斬ることは実は勇気がいることだ。
なぜなら己の価値観の表現なのに、それを他人はあれこれ言うからだ。
性分というのももちろんあるだろうが、発信する人間が悩んでいないわけではない。

私の事は放っておいてよ、といつも思うのだが、
世の中とは意外と放っておいてくれない。
それは素敵なことでもあるのだが、
いちいちあれこれ口出ししたりされるのは面倒な事のほうが多い。

最近、目で見たことより「どこからか得た情報」を優先する人が多いことに驚く。

陰口なんかでよくあることだが、「みんな言ってるよ」の言葉。
みんなって誰やねん。
しかしその「みんな」を信じる人のなんと多いことか。

楽しいことだけ、いい面だけネット上に載せていたりすると
「元気だ」と思いこむ人。
そんなん誰にもわからんやろ。
だからその相手に頼っていいんや、ってのは違うやろ。

100%の確信というのは意外と希薄な情報からだったりすることが多いものだ。

そんな風になんだか苛々していたときだったので、
「私はこう」と書いてあるものを読むのはとても心地よかった。
インプット側の人間、アウトプット側の人間なんていないと思っているから。

「聞く専門だから。表現することができないから。」
と言う人といると、とても疲れる時がある。
見えない相手の事を思いやることはできない。
あの人はどういう人なんだろうと考え続けることができるのは
自分が元気な時だけだ。

私は喋るのも自己表現するのも好きだけれど、
同じくらい聞くことや、感じることが好きだ。

最近本を読み続けているのは自己表現を感じることができるからなのかもしれない。

相手が心の中に溜め込んだことがあったとしても、
何かしら表現する人間の方が好きなんだなァと感じた本でした。
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