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ゆうべ、もう恋なんかしないと誓ったゆうべ、もう恋なんかしないと誓った
唯川 恵 著 / 角川春樹事務所 出版 / 2000.12
****文学**日本文学****
おすすめ読者年代 大学生もしくは社会人以上
恋愛度数 ☆☆☆☆★ 5
納得指数 ☆☆☆☆☆ 4

短編集です。
全てが恋の終わりに向かう話。

女の子って恋をしていたら目の前が見えなくなることがある。

「恋の不条理」「幸福の代償」「女ともだち」「壊れゆく女」「美人の顛末」他
全24篇。

「何もしてくれない男を愛する女」「不倫」「友達の恋に振り回される女」
「ストーカー」「自分のレベルに合う人を探して年老いた女」
女の子ならこの中の一話くらいは似た感情を抱いた事があるはず。

女の子はこれを読めば「あー、あるある」とか「わかる」と思うだろうな。
それくらい色んなドロドロした感情や、やたらと高いプライド、執着心。
そういうものが書いてあります。

唯川恵サン。短編でこれを書いてしまうのはすごいと思う。
リアルな女の人を冷静な目で書いている感じがします。
小説家ってすごいなぁと思わずにいられない作品です。

************感想(ネタバレ・注意)*************
同世代だと思っていた唯川恵さんが、自分より年を重ねてらっしゃることに驚いたのはつい最近。

この作品も「女の子」に是非読んで欲しいです。
多分痛すぎるくらいのズルさや計算、嘘、プライドが描かれています。

タイトルでもわかるけれど、「恋」がハッピーエンドになる物語ではないです。
でもここには「やめたいのにやめられない」という「恋」の中毒症状やら
どこかに置いてきたのかしら?と考えずにいられなくなるような「過去の恋」だったり
女の人なら誰でも考えたことがあることが書いてある。

「女ともだち」には
可奈が「もう別れる」と言って家にやってくる。

お見合い結婚で「運命の人」と言うくらいの人に出会った可奈。
トントン拍子で結婚する事が決まっていた。

初めての愚痴は「引き出物がホーロー鍋なんて私のセンスが疑われる」。
そして「もう結婚しない」と言い出すまでには数々の疑問があった。

寿退社を派手にしていることや、体面を保つために「結婚式」だけ挙げてくれという両親。
それらの事情からとりあえず「結婚」はすることになった。

そして家を飛び出して「泊めてくれ」と「帰らない」と可奈はやってきた。

独立だといって働き口を探すもなかなか見つからない。
使えるお金の額も心もとない。

一ヶ月ほどして可奈はポツリと「行ってくる」という。
マンションに帰って荷物を持ってくるというのだ。

それからちょくちょくマンションに帰るようになる。
ある夜帰ってくるのが遅かった可奈に理由を聞くと
「イタリア製のソファで寝心地がよくて寝入った」という。

それから更に1ヶ月後。
可奈の誕生日に「ワイン」を奮発して買ってきたが、可奈はいない。
8時になっても9時になっても帰ってこない可奈を心配していたら
可奈の結婚相手から電話がかかってくる。
「可奈、今夜泊まると言ってます」

生理的に耐えられないと言ってとびだしてきた可奈の面倒をみていたけれど
結局はそういう結末。

あー。あるある。
そう思わずにいられない。
この感情って男の人にはわからない感情なんじゃないかと思う。
可奈を羨むとか可奈が腹立たしいっていうのじゃなくて。

ともだちの愚痴を聞いていて、自分の時間を相手のためにさき、考えたりする。
金銭的にも可奈のために費やしていたのは確かだ。
ひとりの時間という大事な時間をなくしても可奈のことを考えれば仕方がない。
本当に「別れる」と決めるのは相手だし
もちろん幸せになって欲しいと願うのだけれど
毎回「なんだそりゃ」と思わずにいられないような感情になる。

まぁいいんだけどね。
って思うんだけれど「なんだかなぁ・・・」とも思う。

多分この電話が「可奈の結婚相手」ではなく「可奈」からかかってきたのなら
「なんだかなぁ・・・」にはならないだろうなと思う。

恋愛のいざこざに巻き込まれて延々話を聞いて面倒を見ても
結局バカをみるのは自分、ってことがよくある。

そういう短編ばかりが入っています。
いらないことをそぎ落として必要なことだけで「女」を描かれていると思います。

スパッと切り取った「女の人の恋」。
唯川恵さんのものすごい洞察力を敬服せずにいられない作品です。
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